大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和30年(オ)651号 判決 1961年4月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人谷田部正の上告理由第一点について。

しかし、罹災都市借地借家臨時処理法九条にいう疎開建物除却当時の同建物の借主は、連合国軍によりその敷地が接収されていた間は(近く接収解除となるべきことが明らかである場合のほか)敷地の借地権者に対し同条、同法三条による借地権の譲渡の申出を有効にすることができなかつたものと解するのを相当とする。されば所論の点に関する原判決の判示は相当であつて、論旨は理由がない。

同第二点は憲法二九条三項違反をいうが、右は単なる法令違反を前提とするものであつて、前提を欠き採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 石坂修一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例